November 05, 2005

ベルギー王室御用達!「ダニエル・オスト展」開催

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DOst
ダニエル・オストをご存知ですか?
 
ベルギー王室御用達の“花の建築家”と呼ばれているフラワーアーティストです。
 
彼の展覧会が11月19日(土)から草月会館で開催されます。
 
今回の目玉は、彫刻家イサム・ノグチの石庭「天国」で、“BLUE MOON・青い月”と題した作品です。
 
東洋の自然美・文化と西洋の美意識が融合する「ダニエル・オスト展EAST WEST」新しい花の美の芸術に触れてみませんか?
 
詳細はこちらから。
注:ご予約が必要です)
 
 
 
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October 31, 2005

「プーシキン美術館展」に行きました

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Matisse 
昨年7月に開催が発表されてからずっと心待ちにしていた、マティス、モネ、ルノアール、ゴーギャン、ゴッホ、ピカソなどが一同に会する「プーシキン美術館展」(上野の東京都美術館で1218日まで開催)に行ってきました。

この展覧会は、印象派からフォービズム・キュビズムまでの各時代を代表する画家たちの名画を、時系列に展示しています。絵画の発展の流れを理解しやすい展示方法でしたので、フランス近代絵画にそれほど詳しくない方でも十分楽しめると思います。


19
世紀末から1920年代にかけて、アメリカのバーンズ、イギリスのコートールド、そしてロシアのシチューキンとモロゾフと、フランスの近代絵画の大コレクションが、フランス以外の国の個人実業家の手で形成されました。その中でシチューキンとモロゾフのコレクションの特徴は、19世紀末から第一次大戦前までという、他よりも比較的早い時期に精力的に作品を収集した点にあります。


1900
年代初頭は、印象派がようやく認められゴーギャンやセザンヌが評価され始めた時期で、フォーヴィズムやキュビズムはまだ前衛的な存在だったそう(マティスが「野獣」の仲間と嘲笑され、ピカソが友人達から悪口を言われていたような時期でした)。そんな時期に、マティスの「金魚」や、ピカソの青の時代を予感させ、黒の輪郭線にはゴーギャンの影響を感じさせる「アルルカンと女友達」のような歴史的名作を手に入れた炯眼には感服させられますね。

 

シチューキンは、感受性を信じ、表現性の強い、実験的・前衛的な作品を集めました(モネやルノワールなど印象派の作品収集から、ゴーギャンやセザンヌなど後期印象派に移り、最後にマティスとピカソにたどり着きました)。対してモロゾフは画商の意見をよく聞きいれ、評価に値する名作を体系的に揃えました(ルノワール、モネなどの印象派から、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ボナール、さらにマティス、ピカソまでを購入し、特にセザンヌとボナールを好んだそう)。彼らの好みや考え方は違っていましたが、絵画に対する鑑識眼においては共通していました。

2人は17年のロシア革命ですべての財産を没収され、亡命を余儀なくされました。20年代、財政難だった旧ソビエト政府がコレクションを売却しようとしたときに、シチューキンは、「自分はロシア国家と国民のために絵を集めたのだから、売るのは反対だ」と抗議したと伝えられています。コレクションが散逸を免れ、エルミタージュとプーシキンの両美術館に受け継がれたのは、シチューキンとモロゾフの絵画に対する情熱のお陰かもしれませんね。

今回の一番のお目当ては、私の大好きなマティスのシリーズの中でも傑作といわれている「金魚」です。マティスは旅行先のモロッコでガラス鉢の金魚を眺める現地の人たちに刺激を受け、1912年春から夏にかけて金魚鉢を描いた4点の生物画を製作しました。プーシキン美術館の「金魚」はその最高傑作とされています。この絵はシチューキンが1912年にパリ郊外のマティスのアトリエで一目見て気に入り、その場で購入したそうです。

 

水面の金魚には赤い影があって立体感が出ているのに対し、周囲のテーブルや椅子などの人工物は平面的に書かれているため、また回りの植物のグリーンと赤い金魚のコントラストで金魚が生き生きしていて、ずっと見ていたいと思わせる絵でした。


もちろん「金魚」以外の絵画も傑作揃いです。日本初公開の作品が多いこともあるのでしょうが、フランス近代絵画は比較的沢山観ているつもりでしたが、新鮮で楽しめる展覧会でした。

 

シスレーの「オシュデの庭、モンジュロン」は、シスレーのお得意の光と風に溢れた空(彼は空を背景とは思っていず、いつも空から描いていた様ですよ)、自然の生命力を感じられて、見ていて爽やかな気持ちになりました。

 

ピサロは今まで私はそれほど好きではなかったのですが、今回展示されていた「オペラ大通り、雪の効果、朝」は雪が降る冬の光景なのに不思議と温かさを感じられる作品で、はじめてピサロが好きになりました(雪景色は見たことはありましたが、パリの街の雪景色の作品は初めて見たので新鮮でした)。

 

もちろんピカソ20歳の青の時代を予感させる作品「アルルカンと女友達」も外せません。当時まだ画家として認められていなかったピカソは、アルルカンや旅芸人などの社会から疎外されているような人たちに自分を投影していたそうです。女友達の鬱屈した表情、アルルカンの気のそぞろな表情、色彩、手の造形のコントラストの緊張感があって、19世紀末のパリの雰囲気を醸し出している素晴らしい作品です。

 

他に絵の中に入ってしまいたくなる様な夕暮れ時に街灯がつき始めたパリの雰囲気がよく出ているラファエリの「サン=ミッシェル大通り」、構図が面白いタウローの「パリのマドレーヌ大通り」も好きな絵でした。

 

今年はラ・トゥール展ルーブル美術館展ドレスデン美術館展フィリップス・コレクションレオナルド・ダ・ヴィンチ展イサム・ノグチ展など、見応えのある展覧会が目白押しでしたが、プーシキン美術館展も文句なしに傑作揃いの展覧会です。

 

皆さんも是非、シチューキンとモロゾフの審美眼と情熱を堪能してみて下さい!

 

 

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October 27, 2005

100年に1回!規模の展覧会「北斎展」開催されます!

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北斎展江戸時代後期に活躍した浮世絵師葛飾北斎。彼の作品は早くからヨーロッパに渡り、モネ(以前ジヴェルニーのモネの生家を訪れたときも、モネの部屋には沢山の北斎の絵がかけらえれていました)、ドガ、ルノアール、ゴッホを代表する西洋の画家達に多大な影響を与えました。

日本のみならず、海外でも人気の高い北斎の展覧会「北斎展」
が12月4日まで東京国立博物館で開催されます。

「冨嶽三十六景」の風景画と、印象派の画家達に影響を与えた「北斎漫画」で有名な葛飾北斎ですが、一般に知られている彼の評価は、90年にわたる彼の活動の一部にすぎません。

今回の展覧会の見所のひとつは、北斎の20歳から90歳までの70年の長きにわたる国内外から厳選した作品が6つの時期に分けて展示されることです。

江戸末期から世界中に散った日本が誇る葛飾北斎の作品(全出品作数は約500点!この規模の北斎展は1901年のウィーンで開催された展覧会以来だそうです)が東京に集結します。

100年に1回といわれているこの展覧会、ご興味がある方是非どうぞ!


(以下東京国立博物館のサイト
から)

葛飾北斎は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師です。日本で「北斎」と言えば、遠くに見える富士山の手前で砕け落ちる荒波を描いた「神奈川沖浪裏」や、「凱風快晴」などに代表される『冨嶽三十六景』の風景版画が有名ですが、それは70年もの画業において多彩な作品を生み出し続けた北斎の仕事のほんの一部にすぎません。

北斎が世界中の人々に愛される理由、そのひとつは、流派や伝統にとらわれない自由な筆で、把握しがたいほど多彩な作品を描き続けたことにあります。

花鳥画、美人画はもちろん、幽霊や古典物語、果ては気象の変化の様子まで、北斎はこの世のありとあらゆるものを自在に描き、20歳の画壇デビューから90歳で没するその直前まで、あらゆる表現技法に挑戦し続けました。

大英博物館、ボストン美術館、メトロポリタン美術館など、第1級の国内外美術館や個人の協力により、今回出品されるのは約500点。その作品の多様さは目をみはるものがあり、今まで私たちが目にしていた作品は、溢れる才能が残した偉業の片鱗にすぎないのだと思い知らされます。

本展覧会では、長きに渡る北斎の画業を6つの時代に分けて展示し、その衰えることのない創造の軌跡を辿るものです。今回集められた北斎作品の多様さ、作品数のみならず、版画の刷りの質に拘った展示はこれまでに例がなく、今後も不可能だと言われる規模のものです。

ぜひこの機会に日本が生んだ偉大なるアーティスト・「画狂人」北斎の世界をご覧ください

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50万粒の神々の涙「パール展」開催中!

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パール展

「神々の涙」と呼ばれる真珠の謎と魅力を紹介する「パール展-その輝きのすべて」が上野の国立科学博物館で開催されています。

ニューヨークのアメリカの自然史博物館とシカゴのフィールド博物館が企画した国際巡回展で、世界中から900点、50万粒の真珠が展示されています。
古来から人々を魅了し、発展した真珠の歴史と生物からつくりだされる宝石である真珠の謎に迫るユニークな展覧会です。
 
いまだに光沢を失わない8000年前の真珠の化石、マリー・アントワネットやビクトリア女王らの王侯貴族の宝飾品、映画「ティファニーで朝食を」でオードリー・ヘップバーン演じるホリーが身に着けたネックレスの原型、ジョー・ディマジオが新婦のマリリン・モンローに送ったミキモトの真珠などなど見所満載ですよ。
 
いつもお世話になっている弐代目・青い日記帳に詳しいレポートが載っていますので、ご参照ください。
 
これを機会に真珠に詳しくなってみませんか?
 
 
(以下パール展のサイトから)

[展覧会主旨]

2005年10月8日(土)から2006年1月22日(日)まで、50万粒の真珠を一挙に公開する「パール」展が国立科学博物館(上野公園)で開催されます。

本展は、ニューヨーク・アメリカ自然史博物館が、シカゴ・フィールド博物館と共同で企画した世界巡回展で、日本では初公開となります。日本での開催後はロンドンなどを巡回する予定です。また、日本展ではオリジナル特別企画として「日本の真珠」を展開いたします。

古来より人々を魅了し続けてきた真珠。人類が積み重ねてきた時間とともに発展してきた真珠の歴史と、生物からつくりだされる宝石である真珠の謎にせまり、真珠の本質を理解してください。古くは「神々の涙」とまでその輝きを賞され、現在でも優雅さと清らかさの象徴として愛されてやまない真珠の魅力を存分に堪能していただける展覧会です。
 
[開催概要]
展覧会名:「パール」展―その輝きのすべて
開催時期:2005年10月8日(土)〜2006年1月22日(日)
休館日:毎週月曜日 年末年始12月28日(水)〜1月1日(日)
※ただし10月10日、1月2日・9日・16日の月曜日は開館
開館時間:午前9時〜午後5時、金曜日は午後8時まで
(最終入場は閉館の30分前まで)
開催会場:国立科学博物館 特別展会場
(東京都台東区上野公園7-20)
主催:国立科学博物館、TBS、朝日新聞社
企画:アメリカ自然史博物館、フィールド博物館
後援:文部科学省、外務省、アメリカ大使館、TBSラジオ

[入館料]
一般・大学生:1300円(1100円)
小・中・高校生:600円(400円)

 

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October 26, 2005

この秋、スウェーデンスタイルでハッピーになる!

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                                 SWEDENSTYLE                      
毎年秋にスウェーデン大使館を中心に繰り広げられるデザインエキジビション「スウェーデンスタイル」
が今年は11月2日から12日に開催されます。

今年のテーマは「ハッピースタイル」!

11月7日(月)には、以下の様にスウェーデン大使館にてデザインセミナーも開催されます!

スウェーデンスタイルでハッピーになってみませんか?

幸せになるデザインセミナー
「グッドデザインをすべての人に」
担当 山本由香


スウェーデンスタイル東京の一環として、スウェーデン大使館にてデザインセミナーを開催します。 「グッドデザインをすべての人に」という発想のあるスウェーデンで、良いデザインがどのように人々を幸せにしているのかを、暮らしの中のデザインを紹介しながら、分かりやすく解説します。パッケージデザインなどの実物サンプルも用意しておりますので、どうぞお気軽にご参加下さい。セミナー後、ご希望の方にサンプルを差し上げます。
著書「北欧スウェーデンの幸せになるデザイン」はスウェーデンスタイル開催期間中、大使館内で販売されます。

日程 11月7日(月)
第1部 11:00〜12:00
デザインに囲まれたスウェーデンの暮らし
スーパーマーケット、地下鉄、公共施設、病院、ショップなど、暮らしに溶け込んだデザインを紹介します。
第2部 13:00〜14:00
世界に躍進するデザインたち
イケア、テペ、エルゴノミデザインなど、暮らしに欠かせない優れたデザインの企業を紹介します。

 

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October 25, 2005

「チャールズ&レイ・イームズ −創造の遺産−展」開催中!

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Eames

イームズをご存知ですか?

イームズはチャールズ・イームズとレイ・イームズ夫妻や彼らが手がけたデザインのこと。

革新的なアイデアと新技術の開発と導入により、「合板ラウンジチェア((LCW、DCW)」「サイドシェル チェア」などの独創的なデザインでありながら使いやすい家具が有名です。

中でもイームズのチェア類は著名人の間でも大変人気で、多数のコレクターが存在するほどです。

ミッドセンチュリー(1940〜1960年代)を代表するそのデザインは今も多くの人を魅了し続けています。

世界有数のイームズ・コレクションを誇るドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアムとアメリカ議会図書館が共同企画した大規模な世界巡回展“チャールズ&レイ・イームズ 創造の遺産展”が目黒区美術館で開催中です。

1997年から世界巡回、イギリスでは“この年、ロンドンで最もエキサイティングな展覧会のひとつ”と話題を呼んだそうです。

ここでしか見られない試作品やプロダクト図面、書面など膨大な資料を一堂に集め、イームズのデザインプロセスをたどり、その根源にあるものを探る展覧会です。 

The Work of Charles and Ray Eames -- a Legacy of Invention--チャールズ&レイ・イームズ −創造の遺産−
2005 10/8(土)〜12/11(日)
会場=目黒区美術館全館
10:00a.m.−6:00p.m.(入館は5:30p.m.まで)
一般 1000(800)円、大高生・65歳以上700(600)円
小中生無料

初めてイームズを鑑賞される方向けの建築ガイドスタッフによる初心者用ギャラリーツアーもありますよ。

ご興味のある方はお見逃しなく!


 

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October 20, 2005

地球を彫刻した男「イサム・ノグチ展」に行きました

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  イサム・ノグチ展

東京都現代美術館で開催されている「イサム・ノグチ展 彫刻からデザインへ-その無限の創造力」へ行きました。

 

この展覧会はイサム・ノグチがデザインした札幌の「モエレ沼公園」のグランドオープンにあわせ、多様な展開をしめしたイサム・ノグチの芸術を総括的に捉え、芸術によって日常に豊かさをもたらせたい、と切望していたノグチの世界を、多彩な作品とともに体感できる日本初の大規模な回顧展です。

 

イサム・ノグチの作品は彫刻にとどまらず、照明や家具のデザインから舞台芸術や公園の設計まで多岐に渡っており、今回の展覧会ではニューヨークのイサム・ノグチ財団・香川県のイサム・ノグチ庭園美術館所蔵の作品を中心に、彫刻、絵画、和紙や竹を用いた照明デザインなど46点が展示されています。

 

「現実に役立つもの、人々の生活に役割をもつものの創造が私の彫刻である」という言葉に象徴されるように、彼の芸術に対する考え方は、建築も橋も道路もすべて大地の彫刻であり、彼の彫刻作品は、彫刻とその周りの環境、そしてそこを訪れる人々すべてが一体となって、初めて芸術として完成されるというものでした。

 

プランや模型が展示されている「モエレ沼公園」(後述します)は、ノグチが最晩年に力を注いだ公園で、ひとつひとつの細部までこだわり、全体をひとつの彫刻作品となるように設計したこの広大な公園は、まさにノグチが目指した芸術の理想を実現させたものです。

 

展覧会では、最初に展示されている“2mのあかり(第42回ヴェネツィア・ビエンナーレにアメリカ代表として参加したノグチが「光の彫刻=ライト・スカルプチャー」として出品した作品)がまず目を引きます。岐阜提灯に触発されて生まれた、“光を素材にした彫刻”とも言えるノグチの「AKARI」は200種を超えますが、そのなかで最大を誇るのがこの作品だそうです。「私は和紙が投げかける光と影を通じて、その真価を広めたかった」と彼が言っているように、外国育ちのノグチには、行灯など和の生活様式がとても興味深かったようです。作品を観ていると、和の文化の中に自らのアイデンティティを求めようとしている、日系アメリカ人であるノグチの想いが反映されているように感じられました。

 

今回の目玉は、イサム・ノグチの最高傑作と呼ばれている外光溢れる館内の吹き抜け(天井高19m)に置かれたエナジー・ヴォイド(高さ3.6m,重さ17トン)。イサム・ノグチの晩年の製作拠点だった香川県牟礼の住居兼アトリエ(現イサムノグチ庭園美術館)に展示されており、門外不出といわれていた作品です。

 

ヴォイドとは虚空・空虚の意味です。一見単純なフォルムなのですが、ふしぎな光沢があり(スエーデン産の黒花崗岩でできているそうです)、光の角度や見る角度によって、光を全て反射してしまうのでもなく、しかし光を吸収して真っ黒になってしまうのでもなく、変幻自在の輝きで、ずっと眺めていたい彫刻でした。そして見ていると不思議と元気が出てくるような彫刻でした(周りに椅子がおいてありますので、ゆっくり鑑賞できます)。

 

 ミラー”“道化師のような高麗人参などのインターロックスカルプチャー(連結彫刻:切り抜いた紙などを立体的に組み合わせたような作品)はブロンズでつくったものとは思えない軽やかさ、で楽しい気分になりました(黒い紙をつかったワークコーナーも楽しいですよ!)。製作にはいつも真剣だったけれど、人を笑わせるのも好きだったというようなノグチのチャーミングな性格を、愛嬌のある彫刻を観ていると感じることができます。

 

先日、札幌にオープンしたばかりの「モエレ沼公園」に行ってきました。

 

「モエレ沼公園」は、彼がこの世を去る1ケ月前に基本設計を完成させた遺作で、没後も彼の遺志を引き継ぎ、17年の歳月を経て今年7月に完成した、イサム・ノグチ最後にして最大の作品です。

 

滑り台やブランコといった遊具はもちろん、ピラミッドのように石の階段が続くプレイマウンテン(高さ30m、階段99段)、ルーブル美術館のオマージュであるのかガラスのピラミッド(でもイサム・ノグチらしいのは見る角度によってピラミッドの形がかわること)、噴水やモエレ山(標高72mのモエレ山、平地ばかりの札幌市東区で初の「山」として国土地理院の地図にも記載されたそう)に至るまで、189ヘクタール(歩いて回るには広すぎるので、レンタサイクルもあります)にも及ぶ公園全体が、ノグチのマスター・プランに基づいて作られています(ちなみに、彼は 「モエレ沼公園」の原型となるプレイマウンテンのアイデアを1930年代にNY市に提案したのですが、時代に先駆け過ぎて全く相手にされなかったそうです)。

 

公園で一番感動したのは、定期的に行われるショー海の噴水(ショーの中盤くらいから何故の噴水と名付けられているかが分かってきます)。噴水を40分ひたすら観るだけなのですが、バリエーションが限られている“噴水”という形態で、しかも音楽もない中で40分も観客を引き付け続けるのはすごいです。これは水の彫刻だ、と思わせる素晴らしい噴水でした(25mの高さまで水を噴き上げたり、水の塊がうねるように回転するダイナミックな動きは、ブルーの彫刻のようで、大好きな映画“惑星ソラリス” の海を彷彿させるものでした)。 

 

東洋的な美意識と西洋の文化の融合、壮大なスケール、洗練、繊細さを兼ね備えたイサムノグチの魅惑的な彫刻の世界を、皆さんも是非体験してみて下さい!

(以下東京都現代美術館のサイトから)

【開催日】2005年9月16日(金)〜1127日(日)
【開催場所】東京都現代美術館
【開催時間】午前10時〜午後6時
【休館日】月曜日
※ただし919日、1010日は開館、翌火曜日休館
【料金】一般:3000円
    大学・専門生:900円
    中高65歳以上:500円

 

 

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October 15, 2005

「ルーシー・リー展」(ニューオータニ美術館)に行きました

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LucieRieニューオータニ美術館で11月20日まで開催中の“ルーシー・リー展(器に見るモダニズム)”に行ってきました。

ウィーン生まれの英国の陶芸家ルーシー・リーの陶磁器を、私は写真でしか見たことがなかったのでこの展覧会は楽しみにしていました。

(以下はニューオータニのサイトから)

オーストリアで生まれたルーシー・リー(1902−1995)は、ウィーン工業美術学校で陶芸を学びました。以来ウィーン分離派、ウィーン工房の流れを汲むモダンな作風の陶芸家として地位を築いていきましたが、ナチスから逃れるために1938年渡英。その後も「掻き落し」や「象嵌」、2種類以上の粘土を合わせて螺旋模様を作る「スパイラル」などを取り入れて、独自のスタイルを築き上げました。

ルーシー・リーの作陶過程には独特の手法がとられています。まず、素焼きを行わずに1回で焼成させ、そして釉薬は、掛け流しや浸し掛けをせずに、ほとんどロクロ上で筆を使って掛けられます。

本展では、初公開作品を含む鉢、花生、テーブルウェア約60点と釉薬の研究のもととなったボタンを、「ルーシー・リーの歩み」や「技法」にも触れながら紹介していきます。そして、シンプルでありながら洗練されたそれらの作品を通して、現在も欧米で大きな影響を与え続けるルーシー・リーの魅力を再確認します。

■会場ニューオータニ美術館
■住所東京都千代田区紀尾井町4-1
ニューオータニガーデンコート6F
■電話03-3221-4111
■入館料一般700円/高大生500円/小中生300円
※20名以上の団体は各100円引、宿泊者無料
■開館時間10:00〜18:00(入館は17:30まで)
■休館日月曜日(9月19日、10月10日は開館、翌火曜日休館)
■交 通・地下鉄銀座線・丸の内線「赤坂見附」駅Dより徒歩4分、有楽町線・南北線・半蔵門線「永田町」駅7番出口より徒歩4分
■URLhttp://www.newotani.co.jp/museum
■関連イベント・陶芸教室&美術館鑑賞&ランチ
 日時: 10月22日(土)
 10:30〜11:30 展覧会自由鑑賞(ニューオータニ美術館)
 11:45〜13:15 ランチ("イタリアン ベルヴュー")
 13:45〜15:45 陶芸教室(ガーデンレストラン"もみじ")
 陶芸教室講師:樋口健彦氏(陶芸作家)
 定員:16名(定員になり次第締切)
 料金:1名様 ¥12,000(含:サービス料、消費税)*完成品別途着払い
 予約・問合せ:ニューオータニ美術館 TEL:03−3221−4111

・ギャラリートーク
 日時:9月17日(土)、10月1日(土)・15日(土)・29日(土)、11月12日(土)
    いずれも14:00〜 当館学芸員

彼女の作品は、時代に先んじた作品を作り出していたからでしょう、普通の陶芸展とは違う客層(アーティスト系の方が多い)でした。

特に印象に残ったのは、ピンクの大鉢(1980s)、写真のものと同じものだと思いますがトルコブルーの帯のピンクの鉢(1980)、木槌形スパイラル文の花生(これもピンク、トルコブルーの華やかな色彩、1980)、ピンクの小瓶(1976)です。(彼女の1980年代の作品はイエロー、トルコブルー、グリーン、ピンクなどの華やかな色彩の釉薬を使っていてとっても綺麗です)。

写真の本“ルーシー・リーと陶磁器たち”は、彼女を敬愛する陶芸家、友人、コレクターのエッセイ、作陶の流れと走り書きされた陶芸ノート(初めてこの本で公開されました)が美しいルーシー・リーの作品とともに紹介されています。

白いエプロン、白い服、白いスニーカーで美しい作品を作り続けた、作品と同じように静かで美しいルーシー・リー。

シンプルでありながら複雑、芸術家でありながら職人的、繊細でありながら力強い、ルーシー・リーの作品にこの秋触れてみませんか?

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October 13, 2005

☆銀座「和光」でベネチアンビーズ展!

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ベネチアンビーズ
銀座「和光」で“ベネチアンビーズ展”が18日(火)まで開催されています。

ご興味のある方は是非どうぞ!



写真左:1950年頃制作「二連ムッリーネビーズネックレス」
(断面に文様のあるガラス棒のチップを隙間なく溶着して作られた四角形のムッリーネビーズ)
写真中:1800年頃制作「二連フィオーレビーズネックレス」
(表面に花柄をあしらった大粒のフィオーレビーズ。バラと忘れな草が描かれている)
写真右:1920年頃制作「コンテリエビーズのドレス」
(きわめて細かなコンテリエビーズを使ったドレス。華麗で上品な美しさが特徴)

(以下は和光のサイトから)

ベネチアンビーズ展
−伝統あるイタリアン・ハンドメードの珠玉−
本館4階 アートサロン

あでやかな色彩に流麗な造形、個性豊かな文様で人々を魅了するベネチアンガラス。

交易で栄えたベネチアでは1000年以上も前にガラス器の生産が始まり、政府の保護のもとで独自の発展をとげました。この地でのビーズ作りは12世紀に始まり、ガラス器の製造で培われた技術や美意識が存分に活かされ、15世紀には独自の様式を築き、長年にわたって世界各国で愛されています。

バラや忘れな草など華やかな花模様がほどこされたフィオーレビーズ。けし粒のように細かく多様な表情をみせるコンテリエビーズ。洗練された色彩とフォルムがモダンな印象を与えるムッリーネビーズ。さまざまな技法が凝らされたアクセサリーを中心に、ガラス器やドレスなど貴重なコレクションが展示される。繊細で優美なビーズアートの魅力を知る絶好の機会となることでしょう。

 

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October 03, 2005

「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」に行きました

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レスター手稿六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリー(森タワー52F)で開催されている“レオナルド・ダ・ヴィンチ展” に行きました。

「モナリザ」「最後の晩餐」で知られる人類史上最も偉大な天才だと言われているイタリアの画家、レオナルド・ダ・ヴィンチ(14521519年)。今回の目玉は、彼が晩年に記した直筆ノート「レスター手稿」(1505-1507)です。

500年前、ルネサンスの天才によって記されたこの直筆ノートは、歴代の富豪の手を渡り歩きました(ローマの画家G・ゲッツィ → 英国の貴族レスター卿 → 米国石油王アーマンド・ハマー)。現在はマイクロソフト社のビル・ゲイツ会長が所蔵し、一年に一度、一カ国だけしか公開されない貴重な手稿です。「レスター手稿」は照明を落とした特別室に展示されています。損傷を防ぐためなのでしょうが、暗闇の中に手稿が浮かんでくるプレゼンテーションは幻想的で、500年の歴史の重みが身近に感じられます。

「レスター手稿」は72ページから成ります。500年前の最先端メディアであった「紙」に、天文学、流体力学、地球物理など多分野に渡って、先見性と独創性に満ちた考察が、精緻な鏡面文字(鏡で裏返したような文字)で書き込まれています。モナリザなどの絵画作品は十数点しか残していないのに、「レスター手稿」を含むこうした手稿(メモ)は8,000ページにも及び、後の科学者たちに多大な影響を与えました。

ダ・ヴィンチはいつもノートを持ち歩き、アイデアや天体や河川の観察、科学的な推察を文字と図(挿図の完成度と美しさはすごいです)の両方を使って、丹念に書きとめていたそうです。もちろん「レスター手稿」にも、宇宙や地球についての壮大な考えが書かれています。

例えば天文学。当時の人は、地球は動かないもので、宇宙の中心にあると考えていました(天動説ですね)。ところがダ・ヴィンチは、太陽や月や地球を同じように丸い球として描き、三日月のように月が欠けて見えるのは、太陽と地球の移動する位置によって生じるということを見抜きました(ダ・ヴィンチが実際に行った実験の模型が、展示会ではわかりやすく再現されています)。 


また、当時は山の中の地層から見つかった化石は、旧約聖書に基づく「ノアの大洪水」によって、海の貝殻が山上に運ばれていったという説が常識でした。しかし、ダ・ヴィンチは、障害物によって水の流れがどのように変化するのかの実験を繰り返すことで(この実験も再現されています)、貝殻が見つかった場所は昔は海であり、隆起によって山になったのだと結論づけました。

今回の展覧会で感じたのは、天才と称されるダ・ヴィンチのあまたの発明・発見は、実はすごく地道な観察に基づいた仮説を実証するための実験の繰り返しによっているということ。天才というより、努力家の印象を強く受けました。むしろ、旧来の歴史観・宗教観にとらわれず、科学的な視野からのアプローチを図ろうとした点と、仮説を立証するために労を惜しまないあくなき探究心こそが、彼の天賦の才だったのではないかという気がしました。

面白かったのは、手稿の中では、自説の正当性を主張するため、自説への論敵を想定し、彼らを無知な連中と称して、彼らとの問答形式で議論を展開しているところ(こうした対話形式による論証法はすでにソクラテスやプラトン、アリストテレスなど古代ギリシアの哲学者が用いていたものだそうです)。

これほど多岐に渡って多くの発明・発見をしており、学者としての功績が多大なダ・ヴィンチですが、あくまで彼は自分を“画家”であると言い続けていたそうです。実際、彼の深い考察と確かな観察眼に裏打ちされた自然に対する考え方は、「モナ・リザ」をはじめとした、ダ・ヴィンチの絵画作品からも感じることができます(当時のイタリアの画家は、背景に建物や都市のある風景を描くのが主流だったそうですが、ダ・ヴィンチは自然の風景を好んで描きました)。傑出した才能と情熱を傾けた科学研究の成果を、絵画の背景として残すなんて、ダ・ヴィンチの才能の多彩さを改めて実感するとともに、画家としてのダ・ヴィンチの矜持と、ちょっとロマンティックさも感じられました。

天才の息遣いを伝える直筆ノートの迫力と、ダ・ヴィンチが遺した現代へのメッセージを、みなさんにも是非感じていただきたいです。

 

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Posted by infocierge at 22:38Comments(27)TrackBack(12)