May 23, 2005

フェニーチェ歌劇場の「椿姫」観ました

いつも応援クリックありがとうございます!
おかげさまで現在1位です

LaTraviata

先日ヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場「椿姫」を、東京文化会館に観に行きました。

「椿姫」は、巨匠ヴェルディが脂の乗り切った中期に作曲した傑作で、日本はもとより世界中でもオペラのなかで人気ナンバーワンと言われている演目です。

1853年に水の都ヴェネツィアの至宝フェニーチェ劇場で初演され、再建時の杮落としにも選ばれた、記念すべき作品でもあります。

 

オペラファンにたまらないのは、今回は19世紀にヴェルディ初演した時のスコアがそのまま使われていること。初演以降改訂版のスコアで演奏されているので、初演時のスコアを聴けるのは本当に珍しいです。

 

椿姫を語るには、フェニーチェ歌劇場の歴史は欠かせないので、少し詳しく説明しますね。

 

フェニーチェ歌劇場は、ナポレオンがヴェネツィア共和国を征服した1797年の8年前に落成し、1836年の消失後も1年で再建されました。1996年の火災で全焼してしまいましたが(劇場の大部分は灰になってしまいましたが、ヴェネツィア市民はその灰を持ち帰って大切にしていたそうです)、「フェニーチェ(イタリア語で不死鳥の意味)」の名前の通り、約8年後の200412月に完全復活しました。

 

世界中のオペラファンとヴェネツィア市民に支えられて、「元あった場所に、元あったように」をモットーに再建され、世界一きらびやかで美しい宝石箱のようと称えられた内装も復元されたそうです。ちなみに、ヴィスコンティの映画「夏の嵐」で主人公の二人が出会ったのはこの劇場です。

 

「椿姫」は名作の誉れ高い作品かつ日本人が最も好きなオペラの演目なので、あらすじをご存知の方も多いと思いますが、以下のようなストーリーです。

 

パリに住む娼婦ヴィオレッタは、青年アルフレードの求愛を受け、田舎で同棲生活を始めるが、アルフレードの留守に、アルフレードの父ジェルモンが、世間体を恐れ、息子と別れてくれるようヴィオレッタに頼む。ジェルモンの説得を受け入れたヴィオレッタは、アルフレードに別れの手紙を残して去る。手紙を見て裏切られたと逆上したアルフレードは、パリのパーティーでヴィオレッタを侮辱し、人々はアルフレードを非難する。それから数ヵ月後、病でもはや助かる見込みのないヴィオレッタのもとに、ジェルモンから真実を聞いたアルフレードが駆けつける。二人はもう一度一緒に暮らそうと約束するが、もはやヴィオレッタは手遅れで、アルフレードの胸の中で息絶える...。

 

普通「椿姫」は、ロマンチシズム溢れる絢爛豪華な演出が多いのですが、今回はカナダの新鋭ロバート・カーセンの、舞台は現代の斬新でスタイリッシュな演出が新鮮でした。例えば、ヴィオレッタに大勢の男性たちが群がる際にドル札が飛び交ったり、第二幕のパリ郊外の場面になっても、紙幣はそのままグリーンの木の葉として敷きつめられていたり、部屋にテレビがあったり、アルフレードがカメラを持っていたりなど

 

初演した由緒正しい歌劇場なのに、このような斬新な演出をするような冒険心があるところがフェニーチェ歌劇場の伝統だそうです。(もともと王侯貴族のものだったオペラを市民に開放したヴェネツィアだからこそかもしれませんが)

 

「椿姫」は、歌と演技力が同じくらい重要だとされる演目です(普通オペラは、演技力より歌に重きが置かれます)。今回悲劇のヒロインを演じるのは、日本デビューとなるシエナ出身のソプラノ、パトリツィア・チョーフィー。細身の体、シャープな美貌(スリムなデザインのイブニングドレス姿、素敵でした)、声楽的にも難しい技巧を完璧にこなし、表現力のある絹のようになめらかなソプラノで、迫真の演技でビオレッタを演じていました。

 

予想もしていなかった、今の生活から逃れられるかもしれない恋への喜びを感じながら、自分に病が近づいているため、幸せは長くは続かない予感・悲しみを同時に表現する歌の表現力は素晴らしかったです。女性は涙なしには観られないですよ...。

 

とはいえ、オペラは値段は高いし(今回はS席で43,000円でした、余談ですが隣に山田洋次監督ご家族がいらっしゃいました、素敵なご家族でした)、それほど多く日本で上演される訳ではないし、なかなかオペラの世界の扉を開けるきっかけはつかめませんよね。でも、今回日本で上演された「椿姫」が、既にDVDで発売されています。私は会場で買いましたが、DVDでは、本場フェニーチェ劇場での上演を収録していますので、フェニーチェ歌劇場の美しさと、オペラの世界を同時に体験できますよ!

 

皆さんも、これを機会にオペラの世界に足を踏み入れてみませんか?

 

最新ブログランキングはこちらから!

 

  

Posted by infocierge at 07:07Comments(11)TrackBack(3)