October 03, 2005

「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」に行きました

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レスター手稿六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリー(森タワー52F)で開催されている“レオナルド・ダ・ヴィンチ展” に行きました。

「モナリザ」「最後の晩餐」で知られる人類史上最も偉大な天才だと言われているイタリアの画家、レオナルド・ダ・ヴィンチ(14521519年)。今回の目玉は、彼が晩年に記した直筆ノート「レスター手稿」(1505-1507)です。

500年前、ルネサンスの天才によって記されたこの直筆ノートは、歴代の富豪の手を渡り歩きました(ローマの画家G・ゲッツィ → 英国の貴族レスター卿 → 米国石油王アーマンド・ハマー)。現在はマイクロソフト社のビル・ゲイツ会長が所蔵し、一年に一度、一カ国だけしか公開されない貴重な手稿です。「レスター手稿」は照明を落とした特別室に展示されています。損傷を防ぐためなのでしょうが、暗闇の中に手稿が浮かんでくるプレゼンテーションは幻想的で、500年の歴史の重みが身近に感じられます。

「レスター手稿」は72ページから成ります。500年前の最先端メディアであった「紙」に、天文学、流体力学、地球物理など多分野に渡って、先見性と独創性に満ちた考察が、精緻な鏡面文字(鏡で裏返したような文字)で書き込まれています。モナリザなどの絵画作品は十数点しか残していないのに、「レスター手稿」を含むこうした手稿(メモ)は8,000ページにも及び、後の科学者たちに多大な影響を与えました。

ダ・ヴィンチはいつもノートを持ち歩き、アイデアや天体や河川の観察、科学的な推察を文字と図(挿図の完成度と美しさはすごいです)の両方を使って、丹念に書きとめていたそうです。もちろん「レスター手稿」にも、宇宙や地球についての壮大な考えが書かれています。

例えば天文学。当時の人は、地球は動かないもので、宇宙の中心にあると考えていました(天動説ですね)。ところがダ・ヴィンチは、太陽や月や地球を同じように丸い球として描き、三日月のように月が欠けて見えるのは、太陽と地球の移動する位置によって生じるということを見抜きました(ダ・ヴィンチが実際に行った実験の模型が、展示会ではわかりやすく再現されています)。 


また、当時は山の中の地層から見つかった化石は、旧約聖書に基づく「ノアの大洪水」によって、海の貝殻が山上に運ばれていったという説が常識でした。しかし、ダ・ヴィンチは、障害物によって水の流れがどのように変化するのかの実験を繰り返すことで(この実験も再現されています)、貝殻が見つかった場所は昔は海であり、隆起によって山になったのだと結論づけました。

今回の展覧会で感じたのは、天才と称されるダ・ヴィンチのあまたの発明・発見は、実はすごく地道な観察に基づいた仮説を実証するための実験の繰り返しによっているということ。天才というより、努力家の印象を強く受けました。むしろ、旧来の歴史観・宗教観にとらわれず、科学的な視野からのアプローチを図ろうとした点と、仮説を立証するために労を惜しまないあくなき探究心こそが、彼の天賦の才だったのではないかという気がしました。

面白かったのは、手稿の中では、自説の正当性を主張するため、自説への論敵を想定し、彼らを無知な連中と称して、彼らとの問答形式で議論を展開しているところ(こうした対話形式による論証法はすでにソクラテスやプラトン、アリストテレスなど古代ギリシアの哲学者が用いていたものだそうです)。

これほど多岐に渡って多くの発明・発見をしており、学者としての功績が多大なダ・ヴィンチですが、あくまで彼は自分を“画家”であると言い続けていたそうです。実際、彼の深い考察と確かな観察眼に裏打ちされた自然に対する考え方は、「モナ・リザ」をはじめとした、ダ・ヴィンチの絵画作品からも感じることができます(当時のイタリアの画家は、背景に建物や都市のある風景を描くのが主流だったそうですが、ダ・ヴィンチは自然の風景を好んで描きました)。傑出した才能と情熱を傾けた科学研究の成果を、絵画の背景として残すなんて、ダ・ヴィンチの才能の多彩さを改めて実感するとともに、画家としてのダ・ヴィンチの矜持と、ちょっとロマンティックさも感じられました。

天才の息遣いを伝える直筆ノートの迫力と、ダ・ヴィンチが遺した現代へのメッセージを、みなさんにも是非感じていただきたいです。

 

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この記事へのコメント
こんばんは。
コメントありがとうございました。
TBできないのは時間帯の問題かと思います。
うちのサーバー弱いんです・・・
すみません、折角送っていただいたのに。
懲りずにまたよろしくお願いします。

さてさて、私も丁度先ほど
ダ・ヴィンチ展の記事upしました。
行ったのは金曜だったのですが
土日と仕事で今頃やっと書き終えました。
素晴らしい展覧会でした。

また絶対次も行きます!!

TB送らせていただきました。
Posted by Tak at October 03, 2005 23:14
こんばんは!
TBありがとうございました。

みなさん、この展覧会は素晴らしい感想文を書かれますね。
私のはまだまだ書き足りないのですが、TBさせて頂きます。
Posted by Julia at October 03, 2005 23:27
レオナルド・ダ・ヴィンチ展ほんとよさそうですね。
子供のころからレオナルド・ダ・ヴィンチの漫画の伝記とか読んでたので、
行ってみたいですね^^;遠くていけないけど(笑)

何だかダ・ヴィンチのいろいろなものを見ていくとそこの秘められたものが何かつかめそうな気がしてきますね。
そういう何か神秘的な感じありますよね^^
Posted by 笑顔整体の院長 at October 03, 2005 23:47
TBをありがとうございました。
500年の空間を飛び越えて、ダ・ヴィンチと
一緒に、研究しているような、ワクワク感が
味わえますね。
展覧会とは違う、不思議な時間でした。
Posted by mari at October 04, 2005 00:04
ダ・ヴィンチ展は知っていて、いつか行こうと
思ってましたが..
これが私のいつもの行動パターンでした。
日付をつけなかったので、行動に結びつかなかった。

特にレスター手帳には興味があります。
10月中に行ってみます(行きます!)
Posted by ガッツ at October 04, 2005 07:29
TBありがとうございました。いつもながら素敵な記事です。

おっかけTBをトライしたところ、今回は上手くいったようです。ここ最近ライブドアのシステムが軽く速くなってもいたので何かが改良されたようです。
Posted by ike at October 04, 2005 08:17
森タワーで、レオナルドダヴィンチ展
やっているのですか。
まだ間に合いそうですね。
Posted by 栗原敏彰 at October 05, 2005 00:56
ミラノで観たダヴィンチ博物館(?)を思い出しました。
地動説の解説模型セットは、そこでも見ています。

博物館は場所が解らなくて、道に迷いながら、たどり着いたときはくたくただったのに
とてもミラクルな空間で、母をカフェで休ませながら
一人で、冒険するようにワクワクしながら巡ったものです。
夕方から知人と約束があり、3時間程度しか時間がとれなかったのですが
飛行機の理論の設計図とか、本当に凄い人だったのだと感じました。

私も、行ってみようかな・・・?

Posted by 和木 珠永:☆しあわせになるッ☆〜知ると知らないでは大違い?! at October 05, 2005 06:51
Takさん、

同時期にUPされてらっしゃったのですね!
記事拝見いたしました。
いつもながら詳細な素晴らしい内容で、また展覧会に行きたくなってしまいました。

Posted by インフォシェルジュ at October 05, 2005 08:19
Juliaさん、

ご訪問有り難うございます。
Juliaさんの記事もこれから楽しみにしております。
Posted by インフォシェルジュ at October 05, 2005 08:20
笑顔整体の院長さん、

貴重な美術展ですので、是非お時間を見つけていらっしゃてくださいね。

Posted by インフォシェルジュ at October 05, 2005 08:21
mariさん、

本当ですね、夢の様な不思議な空間でした。
Posted by インフォシェルジュ at October 05, 2005 08:22
ガッツさん、

是非是非行かれてくださいね!
Posted by インフォシェルジュ at October 05, 2005 08:23
ikeさん、

TBが出来て良かったです。
ikeさんのブログで予習が出来たので楽しめました。
本当に有り難うございます。
Posted by インフォシェルジュ at October 05, 2005 08:24
和木さん、

ミラノは“最後の晩餐”までで、ダヴィンチ博物館まで行きませんでした。
世界初の概念上のヘリコプターの模型をご覧になったのですね?

今回のレスター手稿はダヴィンチ博物館では見られないものなので、もしご興味がありましたら行かれてくださいね!
Posted by インフォシェルジュ at October 05, 2005 09:16
こんにちわ。私もダビンチ展に行きましたが、鏡文字の手稿の展示に横に鏡が付いていません。妙なことに、何の意味があるのか、下に鏡が付いています。ダビンチ展に行かれるのであれば、手鏡をお持ちになることをお勧めします。私はノートの研究をしてきました。ダビンチペーパーは、フィレンチェでも見たことがあります。ノートの素晴らしさ、記録の重要性は、ダビンチの天才性を今に伝えたことからも分かります。樋口健夫
Posted by 樋口健夫 at October 05, 2005 10:55
樋口健夫さん、はじめまして!

ノートは本当に素晴らしかったですね。
是非多くの方に見ていただきたいです。


Posted by インフォシェルジュ at October 06, 2005 07:16
初めまして☆tomokaさんのサイトから来ました。
(先程、2つの記事にTBさせて頂きました。)

じっくり拝見しましたが、素晴らしいブログですね^^
是非これから参考にさせて頂きたいと思います。
私もレオナルド・ダ・ヴィンチ展、楽しんできまーす♪
Posted by 白雪 at October 06, 2005 23:45
白雪さん、はじめまして!

ブログを丁寧に読んで頂きまして、有り難うございます^^

レオナルド・ダ・ヴィンチ展の記事かかれたら是非またTBしてくださいね!

これからも、どうぞ宜しくお願い致します。
Posted by インフォシェルジュ at October 07, 2005 07:40
インフォシェルジュさん、TBどうもありがとう。とても詳しく書かれているので、読んでて勉強になります。僕はその展示会に行けなくてちょっと悔しいですが、いつかどこかの国でみる機会があれば良いなと思っています。また遊びに来ますね。
Posted by ヘイチ at October 09, 2005 21:11
Infociergeさん、ご無沙汰してます。

ずいぶんと以前の記事へのTBで申し訳ありません。

北斎展は楽しみですね!!
Posted by ike at October 29, 2005 12:21
ikeさん、こんにちは。

拝見いたしました、素晴らしいですね!!!
ご丁寧にお知らせ有り難うございます。
Posted by インフォシェルジュ at October 29, 2005 19:12
六本木ヒルズの記事をTBさせて頂きました。よろしくお願いします。
Posted by メジロ飼い at November 07, 2005 08:36
only1でお世話になりましたBeadsです。
お久し振りです!
遅ればせながら先週主人と二人でダヴィンチ展行ってまいりました。
お陰様で充実したひと時を過ごすことができました。
ありがとうございます。
展覧会場や、その後立ち寄った階下のレストランを見回すと、私達の様な中高年カップルが多かった様な気がします。
infociergeさんの情報はあらゆる年代層に必要とされていると実感しました。
さっそく、知人の定年退職された60代カップルに、このブログを紹介したところ、大変喜んで頂きました。
改めて、infociergeさんに感謝いたします。
これからも、素敵な情報期待しております。
Posted by Beads at November 07, 2005 12:14
Beadsさん、お久しぶりです!

ダヴィンチ展楽しまれた様でよかったです。
またご友人の方にこのブログをご紹介していただきまして、どうも有り難うございます。
ご丁寧なコメント有り難うございました^^
これからも、どうぞ宜しくお願い致します。
Posted by インフォシェルジュ at November 07, 2005 16:24
メジロ飼いさん、はじめまして!

六本木ヒルズつながりですね。
これからも、どうぞ宜しくお願いいたします^^
Posted by インフォシェルジュ at November 07, 2005 16:28
やっと行きました!平日の夜に。。

展示方法かなりおもしろかったです〜
軽ーく日記アップしました。

ほんとに貴重な機会でした。
また、infociergeさんの記事を読ませていただき感慨倍増です。
ありがとうございました!
Posted by saki-sake at November 13, 2005 00:29