September 09, 2005

「ドレスデン国立美術館展」に行きました

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Dresden“日本におけるドイツ年”に合わせて開催されている、「ドレスデン国立美術館展」に行ってきました。
 
この展覧会には、ドレスデン(かつては“バロックの真珠”“エルベ河畔のフィレンツェ”と称えられた華麗な宮廷文化が輝く東部ドイツ新5州のひとつザクセン州の州都で、ドレスデンを中心としたエルベ河畔の景観はユネスコ世界文化遺産です)に居城を定めたザクセン選帝候のコレクション約200点が出展されており、日本で初めて(!)その全体像が紹介されています。
 
ザクセン公国の歴代君主は、権勢を誇るため華麗な宮廷生活と旺盛な収集活動によりコレクションを築きました。異国文化が愛され、様々な外国の美術が集められたそうです。中でも、イタリア、フランス、オランダ、トルコ、中国、日本の6つの国が重要だったそう。
 
美術展には珍しく、最初のセクションは集光鏡、地球儀、天球儀などの科学計測機器がフロアに並びます。ただ、計測機器といっても、当時は機器そのものにも美が求められたそうで、各々の展示品は、美術品としても十分鑑賞に堪えられるだけの美しさを兼ね備えていました。通常の美術展とはちょっと異なった趣に、次のセクションへの期待が膨らみます。
 
特に感心したのは、巨大な象牙から作られたという繊細なろくろで作った工芸品。ろくろを使いこなすことは、手際のよさ、君主としての忍耐力、立体をイメージする能力、数学・幾何学の知識が必要ということで、当時は帝王学の一部だったそうです。
 
磁器のセクションでは、中国・日本の磁器と今も世界最高の名声を博しているマイセン磁器(東洋の磁器の成分を分析することで、ヨーロッパ人が初めて制作に成功した磁器)が並べて展示されており、当時の人々の磁器に対する憧れの強さ(ドレスデンが所有している磁器の数は、2万以上だそう!)と、彼らの模倣技術の高さが感じられました。
 
絵画のセクションでは、個人的に一番楽しみにしていたフェルメール「窓辺で手紙を読む若い女」とレンブラント「ガニュメデスの誘拐」、ティツィアーノ「白いドレスの女性の肖像」(ルーベンスが若いころに模写した絵、その絵はウィーン美術史美術館に所蔵)の3点が、やはり強い印象を残しました。
 
フェルメールは大好きな画家の一人で、手紙関係の人物画は6点あるのですが、「窓辺で手紙を読む若い女」は最初期のものです。
 
この作品は当初レンブラントの作品だと考えられていて、後にフェルメールの作と判明し、フェルメールの評価が高まるきっかけとなった作品です。手紙は海運国で物流の多いオランダを象徴しているそうで、フェルメールの絵画に特徴的な、リアリティのある室内の情景の静謐さが、この絵からも伝わってきました。
 
嬉しい驚きだったのは、画集で見るより色彩的にはっきりした絵だったことです。手紙を読んでいる女性の顔が右側の窓にうつっていたのはびっくり、それも歪んだ容貌になっているのがまさにリアリティを重んじたフェルメールを感じます。手前の斜めに傾いた果物皿も計算されつくした構図。色彩の鮮明さの綺麗さ(なぜかすごく輝いていました)に魅了されて、立ち去り難かったです。
 
「ガニュメデスの誘拐」は、過去から多くの画家に描かれている題材で、本来は少年の美しさに引かれた女神がその少年を誘拐する、というギリシャ神話がモチーフなのですが、そのエロティックな題材を風刺するため、敢えてレンブラントは美少年を赤ん坊に変えて描いたそうです。過去に囚われず自分なりの解釈で表現する前衛的な一面を、レンブラントが持っていたというのがちょっと意外でした。
 
今回の日本への出展に伴い実施したクリーニングにより、絵画の下部にガニュメデスの母親が描かれていることが判明したという、嬉しいサプライズもあったそう(同題の素描や版画作品には見られる母親の姿がなぜないのかが、これまでずっと美術界の議論の的となっていたそうです)。
 
他にも、オスマン帝国のセクションの豪華さとエキゾチックさを持つ武具コレクションや、フランスの宮廷文化のセクションのアウグスト王がポーランド国王の戴冠の祝祭で着用していたローズカット(17世紀のフランスで人気だったダイヤモンドの底部が平で上部を山形に、まるでバラの蕾のように見えるようにしたカット)のダイヤモンドの装身具一式など、当時のザクセン選帝侯の美に対するあくなき欲求が伝わってくる、美しい美術品が目白押しで、見応え十分の展覧会でした。
 
開催期間はあと僅か(9/16まで)ですので、ご興味のある方は是非お出かけくださいね!

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この記事へのコメント
私もドレスデンの特別招待券が当たり、行って来ました。
学芸員の方の解説つきのスライドショーがあって、細かく解説も聞けたのがラッキーでした。
これよかったですよねぇ〜。
Posted by イヴォンヌ at September 09, 2005 15:42
こんばんわ〜
フェルメールは素晴らしい作品でしたね〜
展示場所がもう少しゆったりと鑑賞できるような場所だったらよかったのですが。(でも、皆さん作品の前から離れられなくなってしまいますよね〜)
ダイヤモンドは凄まじかった!!(本当にすごかったです)
見応えのある素晴らしい展覧会でした。
Posted by りゅう at September 10, 2005 00:31
美術館って癒されますよね。
色々行きたいって思ってるんですがなかなか時間がなくて・・・・
Posted by かよこ at September 10, 2005 13:30
TBありがとうございました。
本物の持つ凄みが感じられましたね。
陳列の順番が、唐突で、ヨヨヨ!?でしたが、
フェルメールは、ユックリ眺められてとても
嬉しかったです♪
Posted by mari at September 11, 2005 00:20
mariさん、ご訪問有り難うございます。

本当に見応えがありましたね。
ほんとです、フェルメール唐突に出現してびっくりしました。
1人でフェルメールをゆっくり眺められて、こんなに幸せなことはないと思いました。
Posted by インフォシェルジュ at September 11, 2005 10:44
こんばんは。
コメントありがとうございました。

しかし、よくお気づきになられましたね!
あれだけの記事で。
フェルメールのサイト開いていらっしゃる方
他にも大勢いらっしゃるのに!

拙いサイト&blogですが
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by Tak at September 11, 2005 19:57
Takさん、こんばんは。

ご訪問とコメント大変光栄です。

本当に素晴らしいサイト、ブログですね。

これからも、楽しく拝見させて頂きます!
Posted by インフォシェルジュ at September 11, 2005 20:45
こんにちは。
TBありがとうございました。

フェルメールは画集で見るのと実物を見るのとでは
全然受ける印象が違いますよね。
わたしも窓に映った顔に驚きました。。

これからもよろしくお願い致します。
Posted by はな at September 12, 2005 11:51
はなさん、こんにちは。

ご訪問有り難うございます。

こちらこそ、これからも宜しくお願い致します。
Posted by インフォシェルジュ at September 12, 2005 21:24
はじめまして。
TBありがとうございます。

ブログですとHPと違い、
簡潔に分かりやすく書ける反面、
深く掘り下げられないなどの
弱点があるのではと、日頃から
感じていました。

しかし、インフォシェルジュさまの
記事は、そのハンデを感じさせない
読みごたえのある情報だと思います。
今後とも、よろしくお願い致します。
Posted by lindenbaum at September 13, 2005 17:48
TBありがとうございました。
(あんな記事なのに恐縮です…)

こちらのブログはとても興味深く、
勉強になるものばかり。
今後ちょくちょく拝見させていただきます!
Posted by m2 at September 13, 2005 18:29
lindenbaumさん、こんにちは。

ご訪問また嬉しいコメントどうも有り難うございます!

これからも、どうぞ宜しくお願い致します。

Posted by インフォシェルジュ at September 13, 2005 20:03
m2さん、こんにちは。

ご訪問また嬉しいコメント有り難うございます。

これからも、どうぞ宜しくお願い致します。

Posted by インフォシェルジュ at September 13, 2005 20:06