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2年ぶりの第6回目となる今年の演目は東海道四谷怪談の作者として有名な四世鶴屋南北の傑作「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」(昨年玉三郎さんが昨年20年振りに上演したというほど、上演頻度は高くない演目です)を「桜姫」とシンプルな名前にして今回コクーン歌舞伎に初登場です。
1回目から5回目までは勘九朗さんが主演でしたが、今年は勘三郎襲名興行があるので福助さんが主役でした。
物語は高貴な姫の流転物語。悪人に暴行され、子まで出来た揚げ句に遊女に身を落とす桜姫。今回の串田和美さんの演出は、この名高い演目を見世物小屋の出し物としてみせていました。口上役は、あさひ7オユキ(朝比奈尚行)さんがそのままの髪型で、めがねをかけて登場します。
桜姫は福助さんがずっと憧れていた役らしく、気合を感じました。昔の振袖をきると、元の姫に戻るのが綺麗。お姫言葉と女郎言葉がちゃんぽんになるせりふは秀逸でした(福助さんの真骨頂ですね)。
ならず者権助と女々しい高僧清玄の二役を、橋之助さんが演じています。ただ、江ノ島稚児ケ淵の場(高僧清玄は、かつて稚児白菊丸と江ノ島稚児ケ淵で心中を図り、独り生き残った。そして桜姫は白菊丸の生まれ変わり)を削ったせいか、両者の差が際立たなかった気がします。また早変わりも見所のひとつだったと思うのですが、勘三郎さんみたいにコミカルでかつ見せ付けるようにやっても良かったのではと思いました(芸風が違うからかもしれませんけどね)。
坂東弥十郎さんと中村扇雀さんの悪巧み老夫婦は面白かったです。特に扇雀さん歌舞伎座では絶対しないことをされていましたね(笑)。コクーン歌舞伎ならではの演出でした。それに比べると、主役の桜姫・権助・清玄などは、見世物小屋の雰囲気とは一線を画す、正統な歌舞伎を演じていた印象でした。
ラストは幽霊の清玄から権助こそが敵だったことを聞いた桜姫が、権助を殺し、乳飲み子を抱えて家を飛び出した瞬間、黒幕が切って落とされ満開の桜が目の前に広がります。ライティングも明るくなりすごく綺麗(これもコクーン歌舞伎ならではの演出ですね)。
真相を知り、すべてを断ち切る決意を固めてお家復興の決意を感じされる姿は福助さんにぴったり。サックスの演奏が流れる桜の紙吹雪が舞う中、狂乱の舞いを踊って幕が閉じます。
ただちょっと残念だったのは、今までのコクーン歌舞伎のような明るい悪ふざけがあまりなかったことですね。勘三郎さんの襲名興行と重なったことが少し影響しているのかもしれませんね。