いつも応援クリックありがとうございます!
おかげさまで人気ブログランキング上位です
日本史を学んだ方は一度は名前を聞くであろう、そして美術を志された方は必ずその名前に出会うことになるという「岡倉天心」展に行ってきました。
岡倉天心は、現在の東京芸大の前身である東京美術学校を創設し、ボストン美術館の東洋部門のトップとしてアジアでも類を見ないを功績を築きあげ、茶道論であり東洋美術入門であり芸術論としても読めるという「茶の本」や、当時のアメリカ大統領も読んだという「日本の覚醒」を英語で執筆するなど、数多くの業績を残している方です。
私は美術にそれほど造詣が深くはないので、岡倉天心に漠然とした興味を持って展覧会に行ったのですが、美術上の功績もさることながら、岡倉天心の先進的かつ普遍的な思想に驚かされました。
今で言う総合商社の社長(だったと思います)の息子として、幼少時より英語を学び異国文化に触れ、14歳(!)で東京大学の1期生として入学し、文部省に入省後は中国・インドなどアジアを訪問するなどの経歴を踏まえていく中で、彼の思想は、当時西洋美術に傾倒する風潮が強まる中、「日本の(アジアの)伝統的な文化・美術を守り、継承し、外国にもしっかりと伝えていくことこそが大切」というものに確立されていきます。
当時は「国粋主義者」とのレッテルを貼られたそうですが、闇雲に海外の文化を礼賛する風潮が蔓延する中で、代々培ってきた自国の文化に誇りを持ってこそ、他国の文化を尊敬できるし、対等の関係が築ける、という彼の思想は、現代においても(特に今の日本では)、そして美術以外のあらゆる分野においても、そのまま私達に対するメッセージにも聞こえますよね。
ちなみに、岡倉天心は、重病を隠して会議に赴き、予算を渋った国家に法隆寺の壁画の修復させる法案を通すなど(法案を通して程なく彼は亡くなりました)、最後まで日本文化のために心血を注ぎ続けました(法隆寺の壁画が今日観ることができるのは、彼のお陰です)。
展覧会は6月26日まで開催されています。美術に興味のある方はもちろん、そうでない方も、彼の日本文化に対する想いに、ぜひ触れてみて下さい!