May 07, 2005

圧巻!「ルーブル美術館展」はフランス絵画の真骨頂!

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Louvre
今回の展覧会は、印象派が誕生する前のフランス革命、ナポレオン帝政から二月革命にいたる貴族社会から市民社会の誕生へ向かう激動の時代19世紀前半のフランスの絵画に焦点を絞って厳選された73点(日本初公開56点含む)の絵画がテーマです!

 

個人的には、同時代の画家で40年間ライバルとして対決していた“新古典主義”のアングル(後にピカソが影響を受けました)と“ロマン主義”のドラクロア(後にゴッホが影響を受けました)の両画家の作品が、効果的に展示されていたことが、一番の驚きでした!この二人は、画風はもとより、生き方なども全て対照的です。そんな二人の絵画が、多数来日しているというだけでも、今回の展覧会は必見です!!
  
この展覧会を観ると、時代の変化と合わせ、美術史の変遷がわかります。日本で印象派以前のこの時代の絵画があまりなじみがないのは、その時代に新しい表現法が次々と生まれていたからだと言われています。例えばフランス革命後に生まれた構図がきっちりしていてデッサンに重きを置く、格調高い新古典主義。王政時代の華やかな気分を捨て、初心にかえりギリシャ・ローマ時代の作品をお手本にした絵が沢山描かれました。

 

今回の展示方法は秀逸で、73点の作品を、「歴史画」「オリエンタリスム」「時事的絵画」「肖像画」「動物画」「風俗画」「風景画」と7つのジャンルに分け、それぞれのジャンルの中で、新古典主義、ロマン主義、自然主義という流れで展示しています。ジャンルを分けることで、同じようなテーマで美術史の流れがわかるように工夫されており、鑑賞がより楽しめました。
 
パリのルーブル美術館に行かれたことのある人は思い当たると思いますが、ルーブル美術館はあまりにも広い(敷地面積は、6万平方メートル)ので、約1万年分の芸術作品が35万点以上あります(「ダ・ヴィンチ・コード」にも書いてありましたが、普通に観るだけでも5週間かかると言われています)。
 

もっとも、時間が限られている旅行者は、有名な作品だけを駆け足で見てしまうため、ルーブルがもっとも誇りとする、またフランス人がもっとも親しんでいるこの時代の絵画をじっくり見ることが出来ません。今回の展覧会は、集結されたその時代の名画をゆっくり見られる絶好の機会です!今回の展覧会の目玉の「トルコ風呂」(今回はじめてフランス国外に貸し出されました。大胆な遠近法、甘美な絵!)の作者アングルや、ダヴィッド(「マラーの死」が有名ですね!久しぶりに再会しました」など、新古典主義の代表的な画家の作品に触れる機会は滅多にありません!

 

同じ新古典主義ですが、前時代の甘美さを残しているフランソワ・エドゥアール・ピコの「アモルとブシュケ」には見入ってしまいました。プシュケは美の女神ビーナスが嫉妬するくらいに美しい人間の娘で、ビーナスの息子アモルがプシュケに、くだらない男と結婚するよう策略するのですが、逆にアモルがプシュケに恋してしまうというお話を絵にしています。

 

ジャン・ピエール・フランクの「エジプト遠征からのボナパルト帰還前のフランス国家の寓意」もよかったです。短刀を持つ「罪」・松明をかざす「不和」・目隠しをした「激怒」におびやかされている女性の姿をしたフランスが、ナポレオンに手を差し伸べ助けを求めていて、この光景をみた英雄ナポレオンが、祖国を救いに駆けつけるべく身を起こしている絵です。ナポレオンの英雄伝説は、このような絵画を通じて創られていたことがわかりますね。
 
そして印象派へのプロローグとなる身近な風景などの題材をありのままに自然な色使いで描いた自然主義・写実主義の画家コロー(「泉水のわきにたたずむギリシア娘」好きです)とミレー(「積み藁を束ねる農夫たち」の穏やかで繊細な絵は日本人の感性になじみます)で、この展覧会は終わります。
 
また、有名な作品を見るだけでなくドラローシュ・ジュラール・ミシャロンなど、たくさん展示されている、日本では有名でない画家(もちろん名作揃いです)から、好きな画家を見つけるという楽しみもあるかもしれませんね!

 

私は昨日観に行きましたが、GW中だからなのか分かりませんが、予想以上に空いていて、心ゆくまで落ち着いて鑑賞できました。7月までの開催ですが、ご興味のある方は、ぜひお早めに行かれることをお薦めします!!

ルーヴル美術館展
19
世紀フランス絵画 新古典主義からロマン主義へ

開催期間:200549()718(月・祝)
開催場所:横浜美術館 横浜市西区みなとみらい
3-4-1
開催時間:10:0018:00(入館は閉館の30分前まで)
【金・土曜日、429()57()717()20:00まで開館】休館日:毎週木曜日429()58()は無休、59()は振替休館】

アクセス:JR、横浜市営地下鉄桜木町駅から「動く歩道」を利用、徒歩約10分,みなとみらい線みなとみらい駅下車、「美術館口」または「けやき通り口」出て徒歩約3

 

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この記事へのコメント
ルーブル美術館、僕も行ったことあるのですが、
ゆっくりみれませんでした。

よし!行ってみよう(^^)
Posted by 24歳ビジネスマン at May 07, 2005 00:46
トラックバックありがとうございます。
しかもこんなすばらしく丁寧な記事。
こちらもトラックバックさせていただきます。
(混んでて帰ってきたという情けない記事ですが)
Posted by yoruhana at May 07, 2005 13:40
こんな有名な展示会でも、混まないですかね。
期間があるので、ぜひ行って見ます。
Posted by 栗原敏彰 at May 07, 2005 14:01
>24歳ビジネスマンさん

おすすめですよ!
でもぜひ朝一番にいけるときに行かれてくださいね!

>yoruhanaさん、

ご訪問&TBありがとうございます!
ぜひ再度トライされてください!価値のある展覧会だとおもいます。

>栗原さん、

私が行ったのは、平日のお天気の悪い日だったので比較的すいていましたが、通常は激しい混み具合の様です。
ぜひ朝一番でいかれることをおすすめします。
Posted by インフォシェルジュ at May 07, 2005 14:11
こんにちは。
「予想以上に空いていて」というところに敏感に反応してしまいました!
曜日や時間によっては、落ち着いて鑑賞できるのかなぁ。
6月〜7月の夕〜夜に行こうと思っていますが、混みそうです・・・
以前NHKで放送していたルーヴル特集(夢の美術館)&公式HPで予習しているところです。
アングル、ダヴィッドはもちろん、カミーユ・コロー、ミレーも楽しみですが、
新たにお気に入りの画家・作品等、新しい発見をできればと思います。
Posted by りゅう at May 07, 2005 15:15
TBサンクスです。私も必ず行きます。レポートはその後ということで。では(了)
Posted by Garbage at May 07, 2005 16:28
こんにちわ^^
TBありがとうございます。そして素晴らしい記事ですね!
こちらの記事を参照してから行けば、もっと面白かったかもしれません。
やっぱ混み具合は日や時間帯によってかなり違うみたいですね。
僕が行った時は空いてたんですが、美術館から出ると並んでましたし・・・
Posted by at May 07, 2005 17:06
TB、ありがとうございました。
記事、拝見しましたが、私のおちゃらけ記事と雲泥の差です。
恐れ入りました。(^_^;σ
Posted by エイジ at May 07, 2005 17:37
TBありがとうございました。
記事読ませていただきました。すごいです。
私ももっと勉強してから行けばよかったな〜。
Posted by miyamiya at May 07, 2005 18:38
はじめまして。TBありがとうございます。
素晴らしく勉強されていますねぇ〜
近いうちにもう一度行く予定なので参考にさせていただきます。
Posted by ニャゴラス at May 07, 2005 20:29
>りゅうさん、こんにちは!
夕方は出来れば避けたほうがいいですよ...行かれたらTBしてくださいね!楽しみにしています!

>Garbageさん、ぜひレポートTBしてください。楽しみにしています!

>楓さん、こんにちは!
ご訪問&嬉しいコメントありがとうございます。
空いていて良かったですね!よろしければ、また遊びにきてくださいね!

>エイジさん、
ご訪問ありがとうございました。よろしければ、また遊びにきてくださいね。

>miyamiyaさん、
ご訪問&コメントありがとうございます。
また遊びにきてくださいね!

>ニャゴラスさん、
ご訪問&コメントありがとうございます!
またいかれるのですね!楽しんできてください。
Posted by インフォシェルジュ at May 07, 2005 21:33
はじめまして。
TBありがとうございました。
もう一回行こうかなあ〜と思っています。
すばらしい記事ですね。
勉強になりました。
Posted by ちょうちょ at May 08, 2005 03:30
TB、どうもありがとうございました。
とっても詳しい記事で、たいへん参考になりました。
関西はこれからですので、楽しみにしております。
では〜。
Posted by potato at May 08, 2005 15:19
>ちょうちょさん、

ご訪問&嬉しいコメントありがとうございます!
ほんとですね、もう一回行きたくなる展覧会です。

>Potatoさん、

ご訪問&コメントありがとうございます。
素晴らしいですよ。楽しんで来てくださいね!
Posted by インフォシェルジュ at May 08, 2005 18:01
はじめまして、インフォシェルジュさん
TBありがとうございました m(._.)mペコリ
詳しく、とてもわかりやすい記事ですね
こちらからもTBさせていただきます。
よろしくお願いします(^д^)    
Posted by ホットココア at May 09, 2005 18:37
ホットココアさん、
ご訪問&TB&嬉しいコメントありがとうございます!
また遊びに来てくださいね!
Posted by インフォシェルジュ at May 09, 2005 21:43
TBありがとうございます。
『美術』という言葉に無頓着な私でも、何かすごいものを感じます!
Posted by プリン at May 10, 2005 20:10
  TB有難うございます。分かりやすい記事ですね。
ルーブル行かなくても観れるんですもの。絶対行こうと思いました。
Posted by みっちゃん at May 11, 2005 11:02
プリンさん、

ご訪問&コメントありがとうございます!
素晴らしいですよ、ぜひ行かれてください。

みっちゃんさん、

ご訪問&コメントありがとうございます!
ぜひ行かれてください!貴重な展覧会です。
Posted by インフォシェルジュ at May 12, 2005 23:29
お気に入り登録、恐縮です。

今やっている講義の一つがフランス近代美術なので、受講生を引率してルーヴル展に行きたいのですが、場所がやや遠いので泣く泣くあきらめてラ・トゥール展だけにしました。でも、聞いてみるとけっこう自主的にルーヴル展に行っている学生もいて、ちょっと嬉しくなっています。

また来ます。では
Posted by ike at May 13, 2005 08:37
ikeさん、
コメントありがとうございます。
これからikeさんのブログで勉強させていただきます。
ブログってこんな出会いもあるので、嬉しいですね。
今後共よろしくお願い致します。
Posted by インフォシェルジュ at May 15, 2005 20:00
お久しぶりです♪
ようやく!?ルーヴル展の感想記事をアップしました。
質の高い作品が揃っていて、
とても充実した時間が過ごせました。
コローの師、ミシャロンは大発見でした!!
これだけの作品群を貸し出せるルーヴル美術館は本当にすごい!
(普通の美術館なら休館かな!?)
Posted by りゅう at July 24, 2005 07:52
りゅうさん、お久しぶりです。

素晴らしい記事拝見しました。
美術展よい内容でしたね。
ほんと、ルーブル美術館ならではです。
Posted by インフォシェルジュ at July 24, 2005 08:54