マシニストを観ました。
クリスチャン・ベイルの骸骨のような姿(4ケ月で30キロの減量をしたそう、撮影中は、体力をあまりつかわないように、ただ黙って目をつむっていたことから、ニックネームが「禅マスター」だったそうです)がまず視覚的にインパクトがありますが、もちろん彼の役者魂以外にも見どころのある映画です。
工場で働く機械工のトレバー(主人公)は、原因不明の不眠症に陥り、1年間365日眠っていません。
ある日、自宅の冷蔵庫に張られ続けるなぞの「_ _ _ _ E R」と書かれたハングマンゲーム(首吊り人形の絵が完成する前に、指定した単語の「つづり」を当てられれば勝ちとなる文字当てゲーム。遊び方は、一つの単語を思い浮かべ、その単語の文字数分だけアンダバーを引く。使われていると思われるアルファベットを指定し、それが実際に使われていれば、アンダーバーに文字が入り、使われてなければ人形が首を吊られていく。首が吊られるまえに単語をあてれば勝ち。)の紙を見つけてから、不可解な出来事が起こり始めます。
自分の不注意で起こる同僚の片腕切断事故、赤い車で現れるアイバンと名乗るなぞの男。彼は、自分を陥れようとする誰かを探すために、真相をさぐりはじめます。
そしてハングマンゲームの文字を完成したとき、彼は驚愕の真実(なぜ眠れなかったのか、不可解な出来事はなぜ起こったか)を知ることとなります。
クリスチャン・ベイルの限界点を越えた主人公の苦しみの完璧な演技、緻密な演出。
伏線を丁寧に網の目のように張り巡らせて、細部を組み合わせていく素晴らしい脚本。
ラストになってから、トレバーが「白痴」を読んでいたことも伏線の一つだとわかってなるほど!と思いました。(「白痴」を読まれた方でピンと来られた方は、ネタばれになってしまってごめんなさい…)私にとっては納得感のある結末でした。
アメリカの資本が見つからなかったことで、設定はロサンジェルスですが、バルセロナで撮影、美術は「キカ」のアラン・ベイネ(スペイン人)、撮影は「10億分の1の男」のジャビ・ヘメネス(スペイン人)、「めまい」「サイコ」のようなヒッチコック映画を思わせる音楽を作った、ロケ・パニョス(スペイン人)とスペイン色が強いため、全体的にシュールな雰囲気になっています。
遊園地のルート666は一瞬プチエクソシストだった気がします...(怖いっ)。 体調が悪いときには観にいかない方がいいかもしれません。「メメント」と同様、サスペンス映画を語る際には基準となる映画になると思いますので、サスペンス映画がお好きな方は、是非ご覧になってください。
(ラストのトレバーが着ているTシャツのロゴは、必ずチェックしてくださいね!)
私は、 「アメリカンサイコ」で初めてクリスチャン・ベイルを観ましたが、彼は「マシニスト」撮影中に、新生バットマンに選ばれたので、今年は大活躍の年ですね。